DAYTONA 2017
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TOP INTERVIEW「皆さん、バイクを楽しんでいますか?」これは、私がお客さまだけでなく、社員にも常々問いかけている言葉です。その真意は、社員一人ひとりがバイクユーザーとして純粋にバイクを楽しんでもらいたいという願いとともに、本当に快適で便利な商品やバイクの楽しみ方を発想する原点がそこにあると考えているからです。月に1度バイクに乗る、触る、あるいは自社商品しか使わないというレベルでは、万が一何か不便を感じたときに「使いづらいけど、まあいいか」で済ましてしまうかもしれません。しかし、常日頃からバイクに乗っている真のユーザーであれば「他社の商品はどうだろう」とか「こう工夫したらもっと良くなるのでは」と考えが発展すると思うのです。例えば、近年提案しているガレージシリーズは、バイクに乗らない時にも、バイクを眺めたり、いじったりできる空間が欲しいという想いと、大好きなバイクを大事に室内で保管したいというバイク愛にあふれるライダーの気持ちを当社の社員たちがしっかり汲み取って実現させたものです。私は1980年代前後のバイクブーム期にバイクに乗り始め、バイクの移り変わりやデイトナと一緒にバイクの楽しみを共有し、広げていきましょう。株式会社デイトナ 代表取締役社長 織田 哲司実は今回の巻頭特集のキャンプシーンは織田が自らセッティングしたもの。撮影は12月上旬、静岡県周智郡森町にあるデイトナ本社に程近い掛川市の「ならここの里キャンプ場」で暗くなるまで行なわれたが、スタッフが撤収したあと、織田はこのキャンプ場でひとり夜を明かした。「冬は寒いけど星がきれい。夜空を肴にちょっとのお酒と好きな音楽があれば、ひとりでも楽しいものです」と笑う。当社の歴史とともに人生を歩んできたベテランライダーの1人ですが、この年代層を含めた多くのライダーたちがこれからもっとツーリングを楽しめるようにするにはどうしたら良いかと思いを巡らしていました。そして、蘇ってきたのが十数年前に家族とともに過ごしたキャンプの記憶でした。「キャンプとツーリングを組み合わせたら、きっと楽しい!」と直感。早速、道具をそろえキャンプツーリングを始めました。実際に体験してみると、目的地までの行程を練ったり、装備をあれこれそろえたりと出かける前の準備でも楽しさに気づいたり、さらに現地ではテントの設営や野外での炊飯、知り合ったライダーとのたき火を囲んだ語らい、日常を離れて自然の中で過ごす贅沢さなど「この年代になったからこそ深く味わえるようになったんだなぁ」と実感しています。ガレージ同様、このキャンプツーリングの楽しみも新たなデイトナの提案として広げていきたいと考えています。また私は、バイクの楽しさや商品情報についてライダーの皆さんともっと共有する必要があると感じていましたので、「開発会員制度」という仕組みを昨年より導入しました。これは実際にデイトナ製品を使っていただいたライダーの方から、使い心地や感想、また「こうしたらもっと良くなる」といった改善点まで広くご意見を伺い、当社の商品開発や企画に反映させるユーザー参加型のシステムです。すでに会員は180名を超え、昨年10月には当社から程近いキャンプ場で会員ミーティングを開催することができました。そこでは、さまざまな職業や立場の方々と交流を深めると同時に、貴重な「ライダーの生の声」を聞くことができました。この「生の声」をもっともっと、これからの商品開発に役立てていきたいと思います。冒頭でお伝えしたように、デイトナの社員がひとりのユーザーとして、バイクを楽しみ、工夫し、考えること。そしてメールやインターネットの情報だけでなく、お客さまと直接語り合い、楽しみを共有し、一緒になって新しいバイクの面白さを広げていくことが私たちデイトナの喜びであり原点だと考えています。巻末03

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